ふくいん13号 -2001.9-

 今、日本の政治家たちは、大きな声で「改革、改革」と叫んでいます。政治改革、経済構造改革、教育改革などなど。改革は、なぜ必要なのでしょうか。それは、現在の状態が悪いと思うからです。そして、現在、改革が必要なほどに、日本が悪いと、誰もが感じています。

 改革には、次の四段階が必要です。

  1. 現状が悪いとの認識
  2. 原因を探る
  3. 解決の手段を考える
  4. 実行

 私たちは、第一段階においては、意見が一致しています。今の日本の状態は、理想から程遠い、良くないとの認識です。実際、日本の中学生からアンケートを採った結果、「将来への希望が持てない。」彼らの多くがこう考えていることがわかりました。同じアンケートを採ったアジア諸国の中学生からは、「日本はわが国より経済が発展しているにもかかわらず、どうしてそんなに将来に対して悲観的なのだ。」との声が多く聞かれたそうです。希望を持つべき中学生までもがなぜそんなに未来に絶望しているのでしょうか。

 それは、私たち大人が、現状に至った原因をしっかりと把握できていない、したがってその解決手段も持っていないからではないでしょうか。中学生たちは、それを鋭く見抜いているのです。

神を信じる者は永遠の希望をもつ

日本の中高生は、欧米や韓国に比べて将来に悲観的で、生活にも満足感が薄いことが、文部科学省所管の財団法人「日本青少年研究所」が31日発表した国際調査結果で分かった。「結婚は必ずしなければならない」と考えている生徒も、日本は2割と最低で、特に女子生徒は9割近くが「結婚しなくてもよい」と答えている。
調査は昨年7月、東京とソウル、ニューヨーク、パリの4都市で実施。中学2年と高校2年の計約3700人(各国約900~1000人)が回答した。
「学校生活」が満足と答えたのは米国74%、フランス59%、韓国41%、日本32%。「社会全般」の満足は米国72%、フランス54%、韓国19%に対し、日本はわずか9%。家庭生活や自分自身への満足度も、日本は最低だった。「21世紀は希望に満ちた社会」と答えたのも米国86%、韓国71%、フランス64%に対し、日本は34%だった。
「結婚は必ずしなければならない」と考えているのは米国で8割、韓国5割、フランス3割に対し、日本は2割。日本の女子生徒は86%が「結婚しなくてもよい」と考えている。「結婚前の純潔は守るべきだ」と答えたのは韓国と米国が7~8割を占めたが、日本は4割、フランスは2割。日本の男子生徒は「守るべき」と「そう思わない」がほぼ半数だったが、女子生徒は6割が「そう思わない」と答えた。

中高生国際調査:米、仏、韓に比べ、日本の子は将来に悲観的[毎日新聞8月1日より]

 過去を振り返ってみましょう。戦後いろいろなことがありましたが、過去の状況の中で今の事態を生み出した直接の原因は、バブル経済の10年間でしょう。政治家も経済人も教育者も希望にあふれていました。しかしそれらはすべて空しいバブル(泡)でした。その時、人々は神を信じるより金を信じ、「人生とは金儲け」と考えていました。経済の行き詰まりが明らかになってきたときでも、政治家たちは日本経済の力を信じ切っていました。それで対処の時機を逸してしまいました。その時日本中を驚かせたのがオウム事件です。そして阪神淡路大地震です。その次が神戸のA少年事件であり、学内暴力、いじめ、学級崩壊でした。それは、日本の学校教育が破綻していたことの証でした。その次が援助交際、銀行の倒産、近い将来の老人社会に対しての無対策等々でした。

 その時々に、価値観の変換、教育方針の見直し、政治改革などの必要が叫ばれたにもかかわらず、何も変わらずに今に至っています。このような時にこそ、私たちは自分個人の今までの価値観に、また人生観に間違いはなかったのか、と反省してみるべきではないでしょうか。外側だけを改革しても、中身を改革しなければ、結局、時が経てば、喉元すぎれば熱さ忘れる、のように、元の木阿弥になってしまいます。私たちに必要なことは、自分自身の改革です。しかしどのような改革、すなわち何を変えるべきなのでしょうか。

 では、間違いがどこにあったのかということから考えてみましょう。

 それは、人間は、真の神様抜きにして幸せになれると思っていた点にあります。人は、誰でも幸せになりたいと思っています。では、幸せとはなんでしょうか。

 神社・仏閣に参って、人は何を願うのでしょうか。商売繁盛。合格祈願。家内安全。そしてそれぞれの具体的な願いでしょう。それはもう少し砕けたことばに言い換えれば、金儲けであり、名声欲、またさまざまな欲望を満たすことです。今を楽しむ事が一番!人生をエンジョイしようなどと言いますが、結局は、自分の欲望を満たす事が幸せ、それを手に入れることができなくなれば不幸ということです。そして、今、人々はバブルの時のように自分の欲望を満たす事ができなくなっているので改革、改革と叫んでいるにすぎないのです。このように人間は、肉欲を満たすために生きている動物のようなな生き方しかできないのでしょうか。

 宇宙の創造主である神様は、人間をも創造して下さいました。人間は下等動物から進化したのではありません。人間は、欲望を満たすためだけに生きているのではなく、もっと崇高なる目的をもって生きるために神様によって造られたのです。

 しかし、人間は造り主がおられることを否定し、進化論を受け入れてしまいました。そのため、その人々は、人間がただ単に生きるために生きているとしか考えることができなくなってしまいました。そして人間は自分の欲望を満足させるためにしか生きる方法がないと考えています。私たちをお造りになった造り主を認めないことが罪の根源なのです。

 ですから神はこの罪に対して怒りを、しかも激しい怒りを持っておられます。この罪が戦争を引き起こし、不道徳を生み、社会の混乱、教育の堕落、家庭崩壊などの悪影響を生み出しているのです。これらは、実に神に対する反逆であり、人間自身の破滅を作り出しているのです。神はこのように罪をもって神に逆らう人々に、必ず永遠の火の池の苦しみをもって報いられます。神は罪を必ず罰せられます。

 人は必ず死にます。そして死後、生きている間に犯した罪の刑罰を受けなければなりません。「一度死んで、さばきがあると見てきた者は無いではないか。そんなことは脅かしだ。」と言うべきではありません。すべての人には良心があります。私たちは良心によって自分が罪を犯してきたことを認めます。そして私たちの周りにあるものすべてが、創造主である神の御存在を明瞭に証明しています。動物でも植物でも偶然に発生し得るものは皆無です。

 さてここに是非皆様に知っていただきたいことがあります。神様が私たちをさばきから救う方法を用意してくださいました。私たちが自分を改革するのではなく、神様の側で私達を救う手段をご計画されすでに実行してくださったのです。この生ける真の神の御子でいますイエス・キリストが、処女マリヤを通して人となられ、人として33歳の時、十字架に釘付けにされました。それは、私たちの罪を御身に負い、私たちの身代わりとなって死ぬことによって、私たちを救うためであったのです。そしてイエス・キリストは死後三日目に、復活され、死の力をうち破ってくださったのです。イエス・キリストは復活の後、四〇日間、しばしば弟子たちにご自身を現わし、ご自分が神の御子であり、真の、唯一の救い主であることを明らかにしてくださいました。イエス・キリストはこのことによって、神様が実在されることを全人類に明瞭に示してくださったばかりでなく、神が私たちを愛しておられることを、そしてイエス・キリストを救い主として信じる者すべてを救ってくださることを明らかにしてくださいました。

神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。それは御子を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである

ヨハネの福音書 3章16節

 神は、御子イエス・キリストを信じる者に、永遠の命を与え、死後の地獄の刑罰から救い、この世においても神の子どもとして生かしてくださいます。ですから、イエス・キリストを信じる者は、永遠の希望を持ち、新しい喜びと力をもって生きることができます。これこそ、本当の「改革」であり、人の内側からの改革です。このように、無神論や偶像礼拝という間違った思想から解放されて、生ける真の神に立ち返った者こそ、本当の人生の改革者なのです。